ほんざわのブログ

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アナログゲームが1つできるまで ~初心者が0からボードゲームを創った体験談~ 前編

皆様こんにちは。ボードゲーム制作サークルCreaGemほんざわです。

 

タイトルのとおり、今回は「ド素人がカードゲーム・ボードゲームを創るまで」の方法や手段、さらにはそれを実際に一般の方々に販売するまでの過程をご紹介します。

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当サークル第1作目の「あっぱれ!トノサマガエル」

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2作目「黒蛇神社」。この2タイトルを作って、売って、反省して、次回に繋げるまでのお話。

あくまでこれは当サークルでのお話にはなりますので、一例としてお聞き頂きたい。具体的にはこんな流れです。

①ゲームを創ることになったキッカケ(当サークルの背景)

②ゲームの企画

③委託先の選定(イラスト・広報・印刷)

④値段設定(コストと採算)

↑今回はココまで

⑤東京ゲームマーケットへの出店手続き(ゲーム搬入・懇親会用の準備)

ゲームマーケット参加(感想と次の課題)

⑦まとめ(費用総計や製作費削減について)

 

①ゲームを創ることになったキッカケ

まず我々CreaGemについて知って頂きますと、私たちはアナログゲームをろくに遊んだ経験がないクソど素人2人組です。さらに言えば平日ほぼ時間のない多忙な社会人。

去年の夏過ぎ、ネットである印刷会社さんのアナログゲーム印刷しますよ」的な広告記事を見て「へー!ゲームって結構簡単に作れそうじゃん!面白そう!」と思いはじめ、それを相方に何気なく言ってみたわけですね。

数日後、彼から「実際にゲームを考えてみた」と連絡がありまして、イデアパワポでまとめた企画書的なデータを渡されました。何気ない私の発言が彼のやる気スイッチを押していたようで、驚いて内容を見てみるとそれがまた結構本格的と言うか、すごくやってみたくなるような内容だったんです。そこから急激に火がついていきました。 

サークルの発足はそんな感じで、2つのボードゲームを制作した現在も我々は2人組で動いています。とにかくお伝えしたいのは、2人ともそれなりに多忙な生活だけどそれでも何とかやれてますってことです。時間の無さや疲労はつきものですが、だいたいのことはモチベーションが解決してくれて現在まで活動できています。

②ゲームの企画

さてここから本題です。先の紹介のとおり、「ゲーム創ろうよ!」と旗揚げした我々ですが、後日早速2人で集まって相方コウノ君の発案したゲームを適当な紙に書いてテストプレイしてみたんです。内容は「怪盗vs探偵」の2人対戦バトルで、盗まれたお宝を巡っての逃避行を背景としたものでした。ボードゲームと言うよりはカードゲームですかね。

最初文面上で案を見たときには「もうこれゲームになってんじゃん!いけるよコレ!」みたいな気持ちだったんですけど、実際に遊んでみるとなかなかそううまくはいかず。

 「AのカードがルールBと矛盾してる」とか「Cを使ったあとD使いたいときどうするの?」とか、単純に「このカード強すぎない?」とか「後攻不利じゃない?」とかいろいろ問題がでてきて、それを修正するため(あるいは辻褄を合わせるため)にルールを変えたりしてみると、今度は「そもそも面白いのかコレ」って話になってくるわけです。そこから別のゲーム案をお互いに出し始めるようになっていきましたがこれまたなかなかしっくりこない日々。

何かを創るってときには何でもそうだと思いますが、1つ案をボツにしては次を考えるという作業はつきもので、いくつも知識の引き出しをもってる人本当になにも知らない人とでは圧倒的に行き詰り方が違います。当たり前ですけど。

これに当てはめると我々は完全なる後者で、遊んだことがあるアナログゲームと言えば「遊戯〇王」や「デュエルマ〇スターズ」と言ったトレーディングカードゲームのみ。「カル〇カソンヌ」などの超ド定番ボードゲームでさえこのときほぼ知りませんでした。なので頭の中に何の引き出しもないに等しい状態からのスタートだったと言えます。

これは本当に重要なことで、パクるために知識を付けなきゃいけないって話ではなくてボードゲームってどういうものなのか」とか「どういうシステムが“楽しさ”に繋がっているのか」と言う知識がないとダメなんです。要はインプット量が少なかったらアウトプットできないんですよね。

もちろん他にも重要なことはたくさんあるかと思いますが、我々が特に苦労したのはこの点です。

そんなこんなで最終的に始めて当サークルが形にしたカードゲーム「あっぱれ!トノサマガエル」はトランプの“七並べ”などを参考に制作しました。基本的にはこうやって自分の持っている知識の中からいろんなものを組み合わせて完成させていく、いわゆる「1を10にする」考え方の連続が初心者クリエーターには必須なのかなぁと思います。

と、ここまで書いて思ったのですが、大抵の方はボドゲが好きで制作を始めるという流れになる思うので、そもそもインプット量の話はそんなに問題じゃないのかも・・・。

③委託先の選定

さて、ゲームのアイデアがある程度固まって、テストプレイもOKでルールも矛盾してない!となったら実際にコンポーネント(内容物)を作ってもらう業者様を決める工程に入ります。カードや説明書のデザインは誰にやってもらうのか、宣伝はどうやってするのか、HPは作るのか、印刷会社さんはどこにお願いするのかなどなど。

まず考えるべきはやはりイラスト。メインとなるキービジュアル的な絵があるだけでもSNS上での宣伝効率が変わってきます。※詳しくは後述しますが、ぶっちゃけ絵で興味を持ってくれる方は多いので、Twitterなどで宣伝するなら絶対に絵を付けてtweetするべき。

基本的にはやはり知り合いに頼むとか、イラスト依頼&仕事募集の掲示ブログを見てみるとか、SNS上によく自作のイラストや漫画なんかをアップしている方から自分の好きな絵柄の方を選んで相談してみると言った手段で制作が始まることになるかと思います。ホームページを作るなら個人よりも地元の企業に相談する必要があるでしょう。イラスト委託・ホームページ制作は、どちらにしてもやはりそれなりの額を用意することになります。

我々の場合どうだったかと言えば、イラストは私ほんざわが描き、ホームページ制作&その他の広報活動等はメンバーのコウノ君がやってくれました。なので我々はここに関しては外注費0円だったんです。(個人的な話になりますが、当時私はイラストの勉強を始めて1年ちょいの初心者。コウノ君は専門的にその道のお仕事をしてらっしゃる“プロ”の人間です。)

なので、「実際にイラストを外注すると何枚ぐらいでいくらなのか」って話は正直あまり知らないのですが、依頼内容によって大きく依頼料は変わってきます。例えば「たくさんのゴブリン達が協力してドラゴンの巣から卵をパクる」みたいなゲームだったとして、ゴブリンのテイストやポージングはもう決まっているのか、要はイラストを描いてもらうだけでなくデザインごと作ってもらうのか、これだけでも値段は変わります。他にも「卵は簡単に書けるけどドラゴンは時間が掛かりますので値段変わります。ゴブリンは顔だけのものと全身のもので値段変わります。納期の長さによっても変わります。」など、人によって様々な受注の方法があるでしょう。

※ちなみに私のような“駆け出しお仕事募集マン”なら、カード1枚あたり1000~2000円くらいが相場じゃないでしょうか。(デザイン抜き)

 

続いて印刷会社さんについてですが、我々のような一般人の小ロットゲーム作成でも請け負ってくれるアナログゲーム専門の印刷会社様は結構いらっしゃいます。私たちは株式会社萬印堂様カードやゲームチップ、説明書、キャラメル箱と言ったコンポーネント全般の作成を委託しました。

www.mnd.co.jp

ホームページのフォーマットから「何をどのくらい、何セット作るのか」を記入して見積を出してもらいます。非常に返答が早く、我々のようなメール&電話で質問しまくりの初心者にも本当に丁寧に対応して下さいました。

どの業者様にお願いしてもだいたい同じかと思いますがだいたい流れを言いますと、見積もりをとって値段や部数等に不備がないかを確認したらデータ入稿。その後何か月か後に納品。こんな感じです。

見積もりまでの話はスムーズに進むと思いますが、データ入稿は初心者の鬼門と言える工程です。

「レイヤー・トンボ・塗り足し」と言ったワードに元から精通している方でない限り、最初の内はチンプンカンプンだと思います。(爆)

でも大丈夫です。私はPSDファイルやAIファイルが何のとこなのかも知らず、ギガファイル便どころかzip圧縮の方法さえ知らないド素人でした。そんなところから始まり、これでいいのだろうかと何度も入稿のメールを送る度に企業様からダメ出しを頂き、マジな話10回程のトライを経てようやく入稿が完了してなんとか覚えました。株式会社萬印堂の担当様はその間何度も私のミスに丁寧に付き合って下さいました。本当に良心的な方々で助かりました。※入稿後一定のタイミングを過ぎてしまってからデータ自体に変更があったりすると、当然別料金が発生しますのでお気を付けください!

なので、機械オンチには確かにちょっと面倒な工程ですが、これからやってみよう!って方は是非あきらめずにチャレンジしてほしいです。

と、実は我々、印刷関係は全て萬印堂様にお願いしたのかと言えばそうではなく、外箱は別の業者様にも委託していたんです。どういうことかと言いますと当サークルは初チャレンジにして2種類のゲームを制作しておりまして、1つ目の「あっぱれ!トノサマガエル」は箱も中身も全て萬印堂様で、2つ目に制作した「黒蛇神社」箱のみ別業者様にお願いしたんですね。お願いしたのはPacksM(パックスエム)様。ゲーム制作ではなく、箱専門の業者様です。

www.packsm.jp

コンポーネントのサイズ感にピッタリ合う大きさの箱がいいなーと思いながらいろんな業者様を探っていたのですが、PacksM様はどんなサイズでもこちらの指定した寸法に合わせて箱を制作してくれるんです。実際限度どのくらいまでかは分かりませんが、一般的にボードゲーム用レベルの大きさならなんでもイケると思います。さらに言えば円柱型やブックタイプ、引き出しタイプや石鹼ケース的なものまで多種多様。

こちらも基本的には他の業者様と同じように「フォトショップ」または「イラストレーター」のソフトによる入稿となります。

外箱の寸法を全て決めさせてもらえるなんてすごく便利です。ちなみに私はこちらのご担当様にも何度も質問とNGを繰り返しながらなんとか面倒見てもらいました。(爆)

④値段設定

データの入稿が終われば出費額が確定します。ここからどのくらい元を取るのか考えてゲームの値段設定をしていくわけですが、私の結論を申し上げますと最初は赤字覚悟で売りましょう。ってことです。

例としてゲームマーケットに出店して現場で売ることを考えたときに、周りにいるサークルさんたちが同じ一般の方々だったとしてもめちゃめちゃ売り上げを出してるサークルさんや、既に大人気シリーズを定着させて一定のブランドをもっているサークルさんなどと肩を並べて売ることになる可能性があります。(我々は初出店のとき隣のサークルさんが客足凄すぎて終始ビビってました泣)

さらに会場に来るお客様の中には、事前のリサーチである程度買うものと予算を設定して会場を回ってらっしゃる方が結構多いんです。事前に買うと決めた物の分は予算を避けておいて、その上で「他にも何か面白そうなものはないかしら」と会場を見て回るわけですね。

以上の2点から無名の新人がゲームを売るにはまず低価格であることが前提に来るんじゃないかなと私は思います。

我々の場合どうだったかと言えば、「あっぱれ!トノサマガエル」は1つ1,000円。「黒蛇神社」は1つ1,200円で販売しました。これに関してコストの話をしますと、「あっぱれ!トノサマガエル」は65部製作で約73,000円。「黒蛇神社」も65部製作で約85,000円ほど。

なので両種とも仮に完売しても赤字なわけですが、「最初はこんなもんでしょ!赤字の分は勉強料だ!」って気持ちで販売に臨みました。※それで結果どうだったか?という話はまた次回!すんません!

 

さて、ここまでご覧いただきましてありがとうございました。思った以上に長くなってしまいましたが、ひとまず前半はこの辺で区切りと致します。なんだか読み返してみるとただの日記みたいなことになってる気もしますが(汗

次回はゲームマーケット出店申請からのお話になります。たぶんまた1週間以上空く気がしますが、是非ご覧くださいね。

それではまた!

追記:現在ゲームマーケット2019秋(11月23・24日)に向けて新作ゲームを作ってます。Twitterチェックしてね。

コウノ君のクリージェム用Twitter:@takelogkouno

ほんざわ尊師のTwitter:@CreaGem_honzawa

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次回作 「マスターさん つぎ、どうします?」